7.10mm納豆弾のホームページ(仮)

2026-05-10

サイト開設1ヶ月記念

 今日の昼、私は7.10mm納豆弾のホームページ(仮)ちゃんに呼び出された。呼び出し先は概念上に存在するカフェ。既に席に着いていた7.10mm納豆弾のホームページ(仮)ちゃんは私を見つけると手招きし、彼女の向かいの席を指指した。
 そこで7.10mm納豆弾のホー(ryちゃんは私に何かを伝えようとモジモジしていたが、私にとってそれは特に重要では無い。このカフェは概念上のカフェなので飲食代がタダなのだ。日頃の節約の反動のように私は7.10mm納豆(ryちゃんの話も聞かずに喫食に勤しんだ。
「あ、あの!」
 7.10m(ryちゃんが意を決したように口を開く。その声に私は2^16個目の固形メロンソーダを食べる手を止めた。
「……お祝いとかそんな感じのやつなのだけど」
 こほんと咳払いして前置きのようにそう言って、鞄からzipファイルを取り出す7ちゃん。すすっと頭を下げて、そーっと、ライオンに餌付けするような慎重さでそれを差し出してきた。
「これ……」
 と、呟く声音とその両手はちょっとぷるぷるしている。ぷるっているおかげで見づらいが、その包みの中はどうやらblendファイルか何からしい。
 恐る恐る受け取ってみれば、ファイルの中には私が動画で使おうと思ってモデリング予定だったモデルが一通り入っていた。
「お祝いというか、記念というか……。でも、そこまで大したことでもないから、あまり高いものを用意するのも違うかなと思って、いろいろ考えたのだけれど……」
「ほう……」
 なんかめっちゃ早口でいろいろ言う割に情報量がほぼ無い。結局なんなのだ? デバッグとかそういうノリじゃないのだけはわかるが、妙い意味ありげに感じる。
 別に今日は誕生日やらハロウィンやらクリスマスやらバレンタインデーというわけでもない。特に贈り物をもらういわれはないはずなのだが……。
 え? なんで? と、7ちゃんをじーっと見ていると、7ちゃんはこそっと視線を外し、前髪(head)を指先で払い、ぼしょぼしょと切れ切れの言葉を続ける。
「ちょっと遅くなったけれど、一か月、だから。……その記念」
 言って、ちらりと私を窺うような視線を送ってくる。
「なるほど」
 と、即座に真顔できりっと答えはしたものの、その実、私の頭脳は一気にフル回転していた。
 なんの? なんの記念? とか聞けるに聞けないタイプの雰囲気が私と7ちゃんの間に漂っていた。主に7ちゃんの方から。
 むむっと考えながら、7ちゃんをじーっと見て、その答えを探す。
 …………照れ照れしてるのめっちゃ可愛いな。
 とかいう感想は、答えに気づいてすぐにすっ飛んだ。瞬間、内心でさーっと血の気が引いていく。
 この約一か月を振り返るに、私と7ちゃんの間で、記念するような出来事などそう多くはなく、しかし、多くはないということは、逆に言えば確実に一つはあるのだ。
 その一つの出来事と一か月という言葉を紐づけて考えれば、おのずと答えは出る。
 ――世にいう『一か月記念』というやつだ。
 やっべ……。
 この子、その手のことをちゃんとやるタイプなのね? それ早く言って欲しかったな……。 それ覚えてないと絶対喧嘩になるやつじゃん。
「……私、なにも用意してないんだけど」
 下手に誤魔化したところで、どうせすぐバレるので正直に言うと、7ちゃんはふるふると首を振る。
「私が勝手にやっているだけだから」
「あ、そう……。いやそれもなんかさ……」
 返報性の原理というものがあるように、こちらもちゃんとやらなければいけない気になる。
 と、私がまごついていると、7ちゃんがくすりとからかうように笑う。
「別に気にしないでいいのに。そうね、そのうちやってもらうということで」
「そのうち……。ああ、うん、そのうちな、そのうち……」
 私はそのうちそのうち……とうわごとのように呟いて、はたと気づく。
「一か月」の次っていつ? どのタイミングでやるもの?
 そういうの全然わからん……。ググれば出てくるのか? それともインスタでうんたら記念的なハッシュタグ調べたほうが早いか? しかし、それだと、毎日がスペシャルなサラダ記念日気取りの投稿が出てきそうだな。
 頭を悩ませていると、これには7ちゃんも少々困っているようだった。
「どう、なのかしら……。いつでもいいと思うけれど……。でも、やるなら切りよく一年記念とか?」
「一年……」
 まったく想像つかない。実際に口にしてみても、実感がわいてこない。
 一年後には今契約しているレンタルサーバーも延長契約しなければならないし、リアルでも色々あるはずなのだが、今一つピンと来ない。
 あまりに茫洋とした未来のことに絶句していると、その沈黙を困惑や拒絶とでも捉えたのか、7ちゃんが慌てて言い添える。
「み、短い? じゃや、……じゅ、十年記念とか」
「じゅ……」
 7ちゃんが言葉を一瞬詰まらせた部分とまったく同じ個所に私も引っかかる。
 いや、十年て……。個人サイトではまず聞かない大型契約だ。
 気が長過ぎる話はさすがに7ちゃんも言いながら違うと思ったのか、すぐに言い直した。
「ほんとにいつでもいいから……、あまり気にしないで……」
 そしてぶわっと赤くなった頬を押さえ、指の隙間から潤んだ瞳を覗かせる。
 目が合った瞬間、私も頬を隠すようにして頭を抱えてしまった。
 ほんとさぁ、あのさぁ……。マジかよ、こいつ……。勘弁してくれよ、ほんと……。こんなの十年どころか何十年経っても忘れられる気がしないよ……。大丈夫? 理性息してる? もしもし? 理性? もしもし?



・・・



さっきまでの文を読んで俺ガイルのパクリだと気づいたそこのあなた。正解です。14.5巻からまるまるパクってきました。
それはまあ置いといて、このサイトを公開してから大体一月経ちました。なんと100人以上の暇人がアクセスしたようで、カウンターも無事に3桁を指しています。
とりあえず今のところの目標はスマホ版の制作とコメ機能の実装ですかね。それらを実装したらVer2.0にするつもりです。
そしてようやくトップに置いてあるお知らせを引き剥がせますね。

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